ピーピーのおっちゃん
誰なのピーピーのおっちゃんって
お食事中の方でも、大丈夫です。そのピーピーではございません。
何か出てくるピーピーではございません。
これは、私が小学生ぐらいのときのお話です。
何も得する情報はありません(笑)
でも、こんな昭和があったのかと懐かしい気分やら、平成生まれには新鮮な気分で読んでもらえたらと思います。
小学生当時私が住んでいたのは、地方の片田舎。人によってはもっと田舎といわれるかもしれない。
そんな街に、いつも現れるおじさんがいたのです。
どこにやって来るのか
そのおじさんが、やって来るのは、夏休みや冬休み、たまに放課後の小学校のグラウンド。
一番出現率が高かったのが、公営団地の広場
時間帯は、昼の2時から夕方の5時ぐらい
移動手段は、自転車。
乗るというより押す感じで自転車。
年齢は、60歳ぐらい?当時の記憶なので実はもう少し若いかもしれない。
格好は、いつもシンプルな服装。
黒っぽい感じ。
どこからやってくるかは不明(笑)
ピーピーのおっちゃんは何をしに来ていたのか
実は、このピーピーのおっちゃんは、駄菓子の販売に来ていたのです。
なんだ、駄菓子かと思われるかもしれませんが、ただの移動式駄菓子販売なら私もわざわざここに書きません。
というか移動式駄菓子販売という言葉があるのかは知りません(笑)
このおっちゃんは、今では考えれない販売手法をとっていました。
おっちゃんは、とにかくゲリラ的に表れます。
突然に表れるのです。
このおっちゃんの出現を予想するという遊びや、出現ルートを考えて待ち構えるという遊びがはやりました。
一部、おっちゃんに出現場所と時間を聞き出して吹聴するものもいましたが、大抵その場合はおっちゃんは現れませんでした。
そんな、おっちゃんの駄菓子販売。
今考えると逮捕ものです(笑)
基本、パッケージから出したであろう駄菓子屋、お菓子をバラ売りします。
もう一度いいますね、パッケージから出してあるお菓子をバラ売りします。
賞味期限、何それ。
メーカー、何それ。
そんな状態だったのです。
このピーピーのおっちゃんを象徴する商品
それは、1円かりんとう
そのパッケージか量り売りか知りませんが、シートの上に無造作に置かれた製造日不明の『かりんとう』が、1本1円で販売されていたのです。
安いのか、高いのか、ものの価値が決まる原点のような販売スタイル。
昭和なのか、土地柄なのか、これが子供達には普通に売れていくのです。
はずれの『かりんとう』は、湿気てるやつです。
たまに、おっちゃんが常連的な子供には、洗っていない手で選別して渡してくれます(笑)
基本パッケージに入れられた駄菓子は売っていません。
バラ売りスタイルなのです。
子供たちも、とりあえずの空腹を満たすために、購入してしますのです。
ただ、このおっちゃん愛想はいいんです。くたびれたじいさんが、愛想よく売っているから大丈夫だろうというアバウトな価値基準により、どう考えても怪しい商品たちに安全性を担保してくれるという謎の図式が成り立っていたのです。
上でも触れた、学校に時折出没するのです。
その出没理由が、水分補給!!
グラウンドの水道で水分を補給しにやってくるのです。
ついでに、子供たちに販売も並行します。
しかし、当たり前なのですが、先生に見つかると追い出されていました。
当たり前なのですが、当時はひどいことするなあと思っていました。
私は、親から買うなと厳命されていたので買いませんでしたが、おっちゃんとしゃべるのが好きで通っていました。
※一度だけかりんとうを買ってみましたが、しけって食べれたものではありませんでした。
おっちゃんが『買わんのか』と聞いてくると、私は、『お母さんに、おっちゃんのはあかん言われてるねん』とド直球の返答をしていました。
おっちゃんは、怒るでもなく『そうか、しゃあないなあ』と笑顔で返してくるのでした。
たぶん、おっちゃんには何かしらの自覚はあったのでしょう。
おっちゃんは、時折長期間現れないことがありました。
すると、またたくまに子供たちの間で死亡説が流れるのです。
死亡説の後に、おっちゃんがゲリラ出現した時は、『おっちゃんが現れたぞ』と子供たちの間に情報がはしり、どこからともなく子供たちが集まってくるのでした。
子供たちから愛されていたのか、はたまた、激安バラ売りが欲しかったのかは今となってはわかりません。
そんなおっちゃんの天敵は、雨と大人でした。
売ってるものがものだけに、すごい剣幕でおっちゃんを怒る大人を見たような気がします。
おっちゃんは、怒られると店じまいをして、違うことろで販売します。
数日して、またやって来るのです。
ピーピーの由来
タイトルにもした、『ピーピー』の由来。
それは、どこで入手したのか不明な、リコーダーの先端部分のみで吹く音色なのです。
そして、何代か代替わりをしていたので、どこぞの子供に譲ってもらったのでしょう。
音が聞こえると子供達が集まってくるのです。
ただ、リコーダーの先端部分だけなので、音は大きくないのですが集まってきていました。
そしておっちゃんは
おっちゃんは、私が高学年ぐらいになった頃にパタっと見かけなくなりました。
病気説や、事故説、逮捕説、死亡説、様々な噂がでていました。
しかし、真相は誰にもわかりませんでした。
そして、いつしか話にも出てこなくなりました。
大人になっても、私の記憶にはおっちゃんが懐かしく残っています。
今では考えれない光景だったなあと思い出します。
最後まで、何のためにもならない思い出話読んでいただいた方、まことにありがとうございます。
みなさんへの感謝で締めたいと思います。